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高森明勅
2017.12.8 22:00

戦争を避ける為に

今の憲法は事実上、わが国の個別的自衛権そのものを制約している。

その結果、戦後ずっと「我が国の防衛には
米軍の力を絶対的に必要としている」(
安倍首相)
という情けない状態が続いている。

ならば「絶対的に」アメリカの言いなりになるしかない。

ところが、アメリカは周知の通り極めて好戦的な国だ。

冷戦期には、アメリカは日本の地政学的価値に配慮して、
戦争協力に一定の歯止めを認めざるを得なかった。

しかし、今は違う。

アメリカにとって日本の“値打ち”は遥かに下落した。

だから安倍政権は、存在感を弱めるアメリカに、
必死にしがみつこうとしている。

安保法制はまさにその為。

更に、近くはトランプ父娘来日時の醜態を思い出せばよい。

一方、アメリカは完全にわが国の足元を見ている。

こうした構図の中では、いつわが国がアメリカの
「正義の戦争(=
侵略戦争)」に巻き込まれるか、
分からない。

分からなくて当然。

その“決定権”自体が、わが国ではなく、
アメリカにあるからだ。

国民が望まない戦争に駆り出されるのを避けたいならば、
絶対的」な対米依存を終わらせるべきだ。

その為には、「我が国の防衛」に
自ら(!)責任を負わねばならない。

ころが、それを憲法が妨げている以上、
憲法改正は不可避。

皮肉ながら、個別的自衛権も満足に行使できないまま、
集団的自衛権に踏み出した安保法制も、今の憲法が招き寄せたもの。

護憲派に尋ねたい。

対米依存=従属を必然化する憲法を「護持」して、
どうやってアメリカの戦争に駆り出されるのを防ぐつもりか。

対米追従派にも聞きたい。

「戦力」未満の自衛隊“加憲”で対米依存を続けても、
アメリカが「絶対的」
にわが国を守ってくれる保証は、
一体どこにあるのか。

本気で平和を願うならば、
一人前の個別的自衛権を備える為の憲法改正以外に、
選択の余地はないはずだ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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